FF14

嘯く

詩が聴こえた。ふと見上げると、わざわざ登ったのか、四角い建物の屋根に男が腰掛けている。 「珍しいですね」 「ん? ……ウリエンジェか。お前こそ」

誤魔化す

その日は少し、後味の悪い仕事をした。と言ってもそんなこと自体は珍しくなく、そもそも双剣士ギルドは都市の暗部を背負っているのだから、仕事をするうえである程度のことは覚悟しなきゃいけない。掟を破るものがみな、必ずしも根っからの悪というわけではないのだから。

舐める

得てして昔馴染みとは、まったく関係ないところでばったり会ってしまうものだ。特にあまり会いたくない相手に限って。たまたまその日は仕事の激務に疲れて、家の近くにある川を跨ぐ大きな橋の欄干に、肘を預けてぼうっと突っ立っていた。

絡める

こうして改めて指先を絡めさせると、それだけで胸の高鳴りを覚える。キスをしたりそれ以上のこともやってきたが、手を繋ぐという言葉にすればあまりに些細なことが、あるいはひどく気恥ずかしいものに思えるのだと知った。そもそも誰かとこうして手を繋いだりなど、これまで生きてきてしたことがない。

疼く

※漆黒直前のあれ その連絡を聞いたとき、胸がずきりと痛んだ。サンクレッドが何の前触れもなく唐突に意識を失って倒れたと。いったい何があったのか、外傷がないなら何か特殊な術でも受けたのか——様々な考えが脳裏を駆け巡る。それでも、この人生のすべてをもって蓄えてきた知識でも、思い当たるものはひとつとしてなかった。

憧れる

いままでと違うのは、家に帰れば彼がいるということだ。どこか電車で適当なところに行って、何をするでもなくふらふらと歩くのが好きだった。いま思えばあの世界で冒険者をしていたという感覚がそうさせるのかもしれないが、この行動は冒険なんてたいしたものじゃない。ただの散歩だ。

慕う

※俺同盟軍兵とマキシマさんの話 「俺は兄を帝国との戦で殺されて、故郷に親を置いてきたんです。今頃は……心配させちまってるかな」 決起集会の騒然とした空気のやや外側で、なんでか俺はそんなことを話し始めていた。

なぞる

この世界には、光の巫女という伝説がある。百年前の光の氾濫を止めた誰かさんの力を受け継ぐものが生まれては戦って死んでゆき、その輪廻の果てに生き残ったのがリーンなのだという。クリスタリウムの人にリーンを見なかったかと訊くと、博物陳列館に行ったと言うのでそこに向かえば、古びた絵本を読む彼女がいた。