絆される
長らく、その気持ちがなんなのか理解していなかった。少し悔しいような、それなのに嬉しいような不思議な感覚。ともすれば泣きたくなるような。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,ウリサン
巡り合う
強い風が癖のある髪を揺らした。思わず目を瞑り、それが過ぎてからゆっくりと瞼をあげる。翳した手に花弁がついていて、軽く振って落とした。そうしてまた前を見て、呼吸の止まるような思いをした。
2019~ 一日一文企画 文章P5,明主
確かめる
「ときどき、疑っちまう。お前のその感情が、言葉が、俺に対する憐れみなんじゃないかって」
風呂上がりの湿った髪をタオルで拭きながら、ソファに座っている俺の隣に腰掛ける男はそう呟いた。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,アルバート,光アル,現パロ
誤魔化す
その日は少し、後味の悪い仕事をした。と言ってもそんなこと自体は珍しくなく、そもそも双剣士ギルドは都市の暗部を背負っているのだから、仕事をするうえである程度のことは覚悟しなきゃいけない。掟を破るものがみな、必ずしも根っからの悪というわけではないのだから。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,ペリ←ジャク
舐める
得てして昔馴染みとは、まったく関係ないところでばったり会ってしまうものだ。特にあまり会いたくない相手に限って。たまたまその日は仕事の激務に疲れて、家の近くにある川を跨ぐ大きな橋の欄干に、肘を預けてぼうっと突っ立っていた。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,ネロシド,現パロ
照れる
「……そんなに見られると、ちょっとやりづらいんですけど……」
「あ……すまない」
使っていた電子時計の調子が悪かったので、機械といえば……と僕は真っ先にアドナキエルに相談しに行った。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,スチュアド
騙す
無邪気に、本当に無垢に眠る横顔を見ていると、少しでも悪夢のことを忘れられる気がする。だからと言ってそのまま自分も眠りに落ちられるわけではない。認めたくないがそれは身体が拒否しているからで、眠ればまたあの夢を見て、胃液を逆流させるのだとわかっているからだ。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,ウルサス学生自治団
惹かれる
青年は甲板の隅で、静かにヴァイオリンを奏でていた。昼前の甲板は人もまばらで、それに今日は大きめの依頼やそれぞれの用事で艇を抜けているものが多く、珍しいことに彼以外の誰もそこに居なかった。
2019~ 一日一文企画 文章GBF,ロベカツェ
絡める
こうして改めて指先を絡めさせると、それだけで胸の高鳴りを覚える。キスをしたりそれ以上のこともやってきたが、手を繋ぐという言葉にすればあまりに些細なことが、あるいはひどく気恥ずかしいものに思えるのだと知った。そもそも誰かとこうして手を繋いだりなど、これまで生きてきてしたことがない。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,ウリサン
疼く
※漆黒直前のあれ
その連絡を聞いたとき、胸がずきりと痛んだ。サンクレッドが何の前触れもなく唐突に意識を失って倒れたと。いったい何があったのか、外傷がないなら何か特殊な術でも受けたのか——様々な考えが脳裏を駆け巡る。それでも、この人生のすべてをもって蓄えてきた知識でも、思い当たるものはひとつとしてなかった。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,ウリサン
憧れる
いままでと違うのは、家に帰れば彼がいるということだ。どこか電車で適当なところに行って、何をするでもなくふらふらと歩くのが好きだった。いま思えばあの世界で冒険者をしていたという感覚がそうさせるのかもしれないが、この行動は冒険なんてたいしたものじゃない。ただの散歩だ。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,アルバート,光アル,現パロ
慕う
※俺同盟軍兵とマキシマさんの話
「俺は兄を帝国との戦で殺されて、故郷に親を置いてきたんです。今頃は……心配させちまってるかな」
決起集会の騒然とした空気のやや外側で、なんでか俺はそんなことを話し始めていた。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,モブシマ