「……そんなに見られると、ちょっとやりづらいんですけど……」
「あ……すまない」
使っていた電子時計の調子が悪かったので、機械といえば……と僕は真っ先にアドナキエルに相談しに行った。考えてみればロドスのオペレーターには何人か機械修理に一家言ある人が何人もいるが、部屋のことを考えても彼が一番頼むには適任だった。しばらく任務の予定もなかったはずだ、と思いつつ僕は彼の部屋を訪問した。
謝罪を入れ、いったんは少し目を逸らして携帯端末を確認したりしていたが、やはり気になる。僕自身は特別機械が苦手というわけでもないが、それはそれとして得意な人の仕事は気になるものだ。実際にアドナキエルはよく他の人の壊れたものを修理したりしていた。ドクターの記録再生機器も直したことがあると、以前彼自身が教えてくれたこともある。
「ん……たぶん、ここをこうして……うん。これで、このボタンを押せば……」
先ほど手早く分解されていた時計は、ぼうっとしているうちにまた組み直され、もとの形を取り戻していた。ちらりと彼の横顔を見る。金色の瞳がきらきらと輝いているように見えて、眩しいと思った。あまりに楽しげで、なぜかこちらが照れてしまう。
「……よし! スチュワード、できましたよ。……どうかしましたか?」
「え? ……ああ、なんでも……」
ない、と言う前に、その満足げな大きい瞳が自分に向けられていてどきりとした。いや、なんでもない。なんでもないのだ。
アドナキエルは、こちらが言い切らなくても答えを察したのか、そのまま話しはじめた。故障の原因がどうの、再起動したあとの手順が少し必要なことなんかを、手短に話してくれた。礼を言って物を受け取り、僕はしばらく先ほどの妙な感覚について考えていた。