手に入れる
それは思わぬ収穫だった。元々色良い返事を貰えるとはつゆとも考えていなかったのだ。だから思わず呆けてしまって、不機嫌な声が投げられた。
2019~ 一日一文企画 文章Gダム,ケネハサ
掴む
「……もう少し、もう少しで……」
戦術シミュレーションシステムの画面を前にして、男は唸っていた。あとひとつ、何かが足りていない。上手くいかない。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,エリソ
嘯く
詩が聴こえた。ふと見上げると、わざわざ登ったのか、四角い建物の屋根に男が腰掛けている。
「珍しいですね」
「ん? ……ウリエンジェか。お前こそ」
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,ウリサン
妬む
羨むということは、どこまで行けば妬みになるのだろうか。所謂普通の人間の生活を、羨ましく思ったことはもちろんある。妬ましいというほどではない。俺が失ったものは、どうあっても戻りようがないからだ。
2019~ 一日一文企画 文章ラルグリ,リィンカネ
飽きる
「……寝るのも飽きたなあ……」
自覚してしまうと、それこそ目が冴えてしまって眠れない。気だるい身体で寝返りをうつと、やたらと仰々しい計測装置の群れが視界に入った。目を閉じる。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,博烏
狙う
狙いが正確だ、と彼は言った。正しくは、狙っている、という自覚はない。決められた場所に銃口を向けて弾を引き金を引けば良いだけだ。
2019~ 一日一文企画 文章ディミリオ,リィンカネ
失う
伸ばした手の先にあるものが、悉くその手をすり抜けては、どこかへと消えていく。掴んだかと思えば、弱々しい光を放って、最後にはそれもまた消えてしまう。
2019~ 一日一文企画 文章ラルグリ,リィンカネ
選ぶ
「取捨選択というものは、知能ある生き物にのみ許されたそれ自体が便利な道具だ」
くるりと手の中のペンを回して、何かしらメモに書きつけながら男は言った。その端正な顔には冷酷な笑みが浮かんでいる。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,博炎
甘える
肩に少しの重さが掛かる。珍しいな、と下りていた瞼を上げると、当の彼は目を閉じていた。短く切られた髪は風呂上がりに乾かしたばかりなのでふわふわしていて、撫でてやりたくなる。
2019~ 一日一文企画 文章Gダム,ケネハサ
攫う
その鮮烈な姿に視線を奪われたことを、いまでも覚えている。彼が故郷で学んだという剣術、あの閉塞的な国家にもこんなに美しいものが残っていたのだと、僕は今更ながらに感じたものだ。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,エリソ
悔やむ
自分の行いを悔やんだことはない。ただ、もう少し早く動けていれば、あと一歩踏み出していれば、と思うことはある。そうしていれば、よりスマートに事を成すことができた。それはただの反省であり、後悔ではない。サルカズが自らの行いを悔やむことはないのだ。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,葬炎
縋る
ふと不安になることがある。日々に不満はないし、それどころかこうして時折戦いに出たりはするが平和に暮らせていることは、感染者の自分にとってこの世界では得がたい幸せだと思う。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,スチュアド