一日一文企画

嘯く

詩が聴こえた。ふと見上げると、わざわざ登ったのか、四角い建物の屋根に男が腰掛けている。 「珍しいですね」 「ん? ……ウリエンジェか。お前こそ」

妬む

羨むということは、どこまで行けば妬みになるのだろうか。所謂普通の人間の生活を、羨ましく思ったことはもちろんある。妬ましいというほどではない。俺が失ったものは、どうあっても戻りようがないからだ。

甘える

肩に少しの重さが掛かる。珍しいな、と下りていた瞼を上げると、当の彼は目を閉じていた。短く切られた髪は風呂上がりに乾かしたばかりなのでふわふわしていて、撫でてやりたくなる。

悔やむ

自分の行いを悔やんだことはない。ただ、もう少し早く動けていれば、あと一歩踏み出していれば、と思うことはある。そうしていれば、よりスマートに事を成すことができた。それはただの反省であり、後悔ではない。サルカズが自らの行いを悔やむことはないのだ。