FF14

誓う

少し時が経ってようやく理解できたのか、ずっと解ってはいたが自分からその感情に蓋をしつづけたのかは自分でもよくわからない。それでも気がつけばその腕を掴み、身体を引き寄せては抱きしめていた。驚いたのか小さく震えたのが服越しに伝わる。

寂しがる

……だから、それは誰のせいでもないと」 「……わかってるよ。けど悔しくてさ……」 皆が寝静まった夜。正確にはウリエンジェは自室の灯りが点いていたのでまだ起きているみたいだが、静かなことには変わりなかった。

自惚れる

……自惚れても、良いのでしょうか」 背中を向けたまま口を開く。特有の脱力感に火照っていた脳が冷めてきて、その温度差にだんだんと眠くなってきた。溶けてしまった理性が戻ってくるかと思いきや、その睡魔に邪魔されてなかなか戻ってこない。

別れる

じゃあまたな。そう言って子どもっぽい笑みを浮かべたアルバートの手を、俺は無意識に掴んでいた。あまりに夢をみすぎたのかもしれない。彼によく似た男が、自分に力を託して消えてしまう夢を。あれから少しずつその夢の頻度は低くなっていったが、どうしてもその場面が脳裏に焼きついて離れなかった。

悩む

「暗い顔してるけど、どうかしたか?」 あっけらかんと言ってみせる彼は、その原因が自分にあるとは露ほども考えていないだろう。当たり前だ。俺自身も突拍子もないことで、彼に対して悩んでいるのだとわかっている。それでもあんなリアルな夢は、そして漠然とした感覚は、あの出来事が幻ではないのだと語りかけてくる。

願う

夢をみる。それは私が闇の中に飲まれていくと、白い手が助けてくれる夢。またあるときは、光の中に飲まれていく手を掴もうと自分のそれを伸ばし、指と指が触れ合う夢。決まって起きたときはぼうっとしていた。しかし今日はリーンと遊びに行く日だ。

諦める

「いつかさ、お前と一緒にあっちへ戻れたら」 言いかけて口を噤んだ。こんなこと言ったって仕方がない。もともと彼の住む世界はここだし、あちらにはあまり良い思い出もないだろう。なにより無責任だ。彼の存在がいつまであるか、世界を渡れるかなんて、保証もないどころか可能性すらありはしないのに。

宴のさなかに

クリスタリウムではきっと夜通し宴が続くだろう。その中心にいる英雄のことを想いながら、サンクレッドはふっと笑った。初めて会った頃は自分の力もわかっていない風だったのに、ずいぶん成長したものだ。などと少し偉そうに考えてしまう。自分自身もまた、彼に返しきれないほどの借りを作ってしまっているのに。

まどろみの一日

ウリエンジェが起きてこない。彼はいつも自分たちより遅めの起床ではあるが、朝餉の用意ができるくらいには必ず起きてきていた。いままで共同生活というほどのこともしてこなかったので、元々こうなのかはわからない。しかし毎夜遅くまで文献を読みあさり、この世界のことを調べたりしているようだから無理もなく、きちんと起きてくるだけ相変わらず真面目なやつだと思っていた。

或る一夜の話

それなりに色々な経験をしてきてはいるが、まさか男として生きていてこのような瞬間があるとは予想していなかった。こちらから見下ろす端正な顔はどこか恍惚として、俺としてもさすがに好いている相手のそういう表情は、こう、胸にくるものがある。