焼き付ける
命を燃やすという表現は、しばしば戦いの場面において使われる。もちろん机仕事にだって使うことはできるが、より情景が伝わるのは武力のぶつかり合いというものだ。だからって文字通り自分の血を熱に変えるような戦い方をする人間は、この世界にもそうそういないだろう。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,ブレグレ
持て余す
飛び込んできたのは、ひとりの少女だった。執務室の扉は基本的に誰でも入れるようにしてある。それはドクター自身が許可したからだが、こうして子どもが来るようなことは予測されていなかった。ロドスという組織、艦船のつくりでいえば、あり得ないということも無かったのだが。
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茶化す
「やあ、ドクター」
ウユウは神出鬼没だ。と言っても、このロドスで特殊オペレーターとして働いている人たちはだいたいそうで、彼が特別というわけではない。
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秘める
「……何を、隠してる?」
「どうしたんだい、急に。何も隠してなんかいないよ」
「別に。少し、思っただけだ」
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掴む
「……もう少し、もう少しで……」
戦術シミュレーションシステムの画面を前にして、男は唸っていた。あとひとつ、何かが足りていない。上手くいかない。
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飽きる
「……寝るのも飽きたなあ……」
自覚してしまうと、それこそ目が冴えてしまって眠れない。気だるい身体で寝返りをうつと、やたらと仰々しい計測装置の群れが視界に入った。目を閉じる。
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選ぶ
「取捨選択というものは、知能ある生き物にのみ許されたそれ自体が便利な道具だ」
くるりと手の中のペンを回して、何かしらメモに書きつけながら男は言った。その端正な顔には冷酷な笑みが浮かんでいる。
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攫う
その鮮烈な姿に視線を奪われたことを、いまでも覚えている。彼が故郷で学んだという剣術、あの閉塞的な国家にもこんなに美しいものが残っていたのだと、僕は今更ながらに感じたものだ。
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悔やむ
自分の行いを悔やんだことはない。ただ、もう少し早く動けていれば、あと一歩踏み出していれば、と思うことはある。そうしていれば、よりスマートに事を成すことができた。それはただの反省であり、後悔ではない。サルカズが自らの行いを悔やむことはないのだ。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,葬炎
縋る
ふと不安になることがある。日々に不満はないし、それどころかこうして時折戦いに出たりはするが平和に暮らせていることは、感染者の自分にとってこの世界では得がたい幸せだと思う。
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放っておけない人
「すまない、ちょっと実験室の方に届け物をしてほしいんだが」
「お安い御用だよ。持っていくのはそれ?」
「ああ。本当は自分が持っていくべきなんだが、別のところに呼ばれてしまって」
「気にしないで。君は忙しいからね、ドクター」
「頼んだよ、エリジウム」
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照れる
「……そんなに見られると、ちょっとやりづらいんですけど……」
「あ……すまない」
使っていた電子時計の調子が悪かったので、機械といえば……と僕は真っ先にアドナキエルに相談しに行った。
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