祈る
ラテラーノの民であるという彼は、どれだけ信仰が厚いのだろう、と思うときがある。自室にいるときはひとりで祈りを捧げたりするのだろうか。エクシアさんは外見にあの元気さ、あるいら奔放さを持ちつつも、祖国の宗教には一段と深い信仰を保っているらしい。何度か任務で同じ部隊になったことがあるが、斃した敵に向かって何か呟いていたのはそれに関係することかもしれなかった。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,スチュアド
応える
「ふたりとも、すごい連携だったな」
肩慣らしに近辺のちょっとしたいざこざを片づけてきて、石の家の共有スペースで紅茶を啜るグ・ラハ・ティアは、そう呟くと感嘆の息を洩らした。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,ウリサン
憂う
「神はすべての人に救いを与えるが、救いとはなんだろうか。それがわかるか?」
「どうしたんだよ? 急に」
「戯れに、貴様の考えを聞きたかっただけだ」
言峰は口元に薄く笑みを貼り付け、いつもの笑っているのかいないのかわからない視線を俺に投げた。
2019~ 一日一文企画 文章Fate,士言
疑う
「……そんなわけないだろ。君が、僕のことを好きだなんて」
にべもなく振られたのだと気づくまでに少しかかった。彼はいつもの涼しげな笑みでそんな言葉を放つと、何もなかったようにカップに口をつける。
2019~ 一日一文企画 文章P5,明←主
伝える
「アルバート、こっち」
男がちょいちょいと手招きするので行ってやると、幼い子どもがするように耳に口と手を近づけて囁いた。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,アルバート,光アル,現パロ
気づく
書類の小さな文字を指でなぞる。報告書の一部であるらしいそれは、一応チェックしてくれと渡されたものだった。普段ならこんなことはやらないが、いま自分の役割はこの組織でドクターと呼ばれる人物の秘書である。未だにどうしてこんなところにいるのかわからないけれど、思いのほか心は冷静に、並べられた文字をなぞった。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,博←アド,性別不明博
壊れる
「あっ……」
リーンが小さな声をあげ、ガイアは彼女のほうを向くとどうしたのよ、と言う前に状況を理解した。その華奢な指のなかで、イヤリングが壊れている。それは確か、あのサンクレッドという男に贈られたものと言っていただろうか。
2019~ FF14 一日一文企画 文章FF14,ガイリン
傷つく
任務から帰ってきたその姿を見たとき、心臓を鷲掴みにされたような。胸に痛みを感じた。いつも閉じているシャツのボタンは傷に負担をかけないよういくつか外され、巻かれた包帯が覗いている。よく見るとこめかみの辺りにも、皮膚を傷つけたのか四角い絆創膏が貼られていた。
2019~ アークナイツ 一日一文企画 文章アークナイツ,スチュアド
宴のさなかに
クリスタリウムではきっと夜通し宴が続くだろう。その中心にいる英雄のことを想いながら、サンクレッドはふっと笑った。初めて会った頃は自分の力もわかっていない風だったのに、ずいぶん成長したものだ。などと少し偉そうに考えてしまう。自分自身もまた、彼に返しきれないほどの借りを作ってしまっているのに。
2019~ FF14 文章2019~,FF14,ウリサン
まどろみの一日
ウリエンジェが起きてこない。彼はいつも自分たちより遅めの起床ではあるが、朝餉の用意ができるくらいには必ず起きてきていた。いままで共同生活というほどのこともしてこなかったので、元々こうなのかはわからない。しかし毎夜遅くまで文献を読みあさり、この世界のことを調べたりしているようだから無理もなく、きちんと起きてくるだけ相変わらず真面目なやつだと思っていた。
2019~ FF14 文章2019~,FF14,ウリサン
はかなきもの
「戻ったら、お話があります……」
三体目の大罪喰いを倒し終えて後、クリスタリウムへの帰路でウリエンジェはそうサンクレッドに耳打ちした。
2019~ FF14 文章2019~,FF14,ウリサン
或る一夜の話
それなりに色々な経験をしてきてはいるが、まさか男として生きていてこのような瞬間があるとは予想していなかった。こちらから見下ろす端正な顔はどこか恍惚として、俺としてもさすがに好いている相手のそういう表情は、こう、胸にくるものがある。
2019~ FF14 文章2019~,FF14,R18,ウリサン