騙す
無邪気に、本当に無垢に眠る横顔を見ていると、少しでも悪夢のことを忘れられる気がする。だからと言ってそのまま自分も眠りに落ちられるわけではない。認めたくないがそれは身体が拒否しているからで、眠ればまたあの夢を見て、胃液を逆流させるのだとわかっているからだ。
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見つける
「サボりか。精が出るな」
そう言ってエンカクは、コンクリートの床に腰を下ろした。そこは甲板の上とでも言ったところか、開けたその場所は風がよく通り、今日の天気では日差しを浴びるにはちょうどいい。と言ってもドクターと呼ばれるその男は全身を服とフードと仮面で覆っており、日を浴びるなどということは縁のない風体をしていた。
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祈る
ラテラーノの民であるという彼は、どれだけ信仰が厚いのだろう、と思うときがある。自室にいるときはひとりで祈りを捧げたりするのだろうか。エクシアさんは外見にあの元気さ、あるいら奔放さを持ちつつも、祖国の宗教には一段と深い信仰を保っているらしい。何度か任務で同じ部隊になったことがあるが、斃した敵に向かって何か呟いていたのはそれに関係することかもしれなかった。
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気づく
書類の小さな文字を指でなぞる。報告書の一部であるらしいそれは、一応チェックしてくれと渡されたものだった。普段ならこんなことはやらないが、いま自分の役割はこの組織でドクターと呼ばれる人物の秘書である。未だにどうしてこんなところにいるのかわからないけれど、思いのほか心は冷静に、並べられた文字をなぞった。
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傷つく
任務から帰ってきたその姿を見たとき、心臓を鷲掴みにされたような。胸に痛みを感じた。いつも閉じているシャツのボタンは傷に負担をかけないよういくつか外され、巻かれた包帯が覗いている。よく見るとこめかみの辺りにも、皮膚を傷つけたのか四角い絆創膏が貼られていた。
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隠す
ロドスの代表だという少女は、今日も忙しそうに駆けずり回っているらしい。他のオペレーターや職員とあまり接することがなくても、同じ空間にいれば会話くらいは聞こえる。あのドクターと呼ばれる人物もまた忙しいのだろうが、いったい何をしているのだろうか。
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