手に入れる
それは思わぬ収穫だった。元々色良い返事を貰えるとはつゆとも考えていなかったのだ。だから思わず呆けてしまって、不機嫌な声が投げられた。
2019~ 一日一文企画 文章Gダム,ケネハサ
甘える
肩に少しの重さが掛かる。珍しいな、と下りていた瞼を上げると、当の彼は目を閉じていた。短く切られた髪は風呂上がりに乾かしたばかりなのでふわふわしていて、撫でてやりたくなる。
2019~ 一日一文企画 文章Gダム,ケネハサ
終わりある光を想う
気がつくと窓枠に肘を置いて、空を見ていた。亡くなった人間が星になるなどという話は当然信じていなかったが、彼を探すとどうしても上を見てしまう。まさか地上にいるわけもないのだから。
~2018 文章Gダム,~2018,タカアス
月は満ち欠ける
いつか、幼かった日に。ずっと一緒にいたいと初めて願ったのは、まだ友情しか感じていなかったころだったか。正直なところ自分はあのときから随分と変わってしまって、三日月のほうは何も変わっていない、とオルガは思う。冷たい無機質な目も、温かく微笑む目も。
~2018 文章Gダム,~2018,オルミカ
間近に刺さる
「……性急だ!」
アインはきょとんとして、しばし俺の瞳を見つめたあと、ようやく理解したように声をあげた。
「ですが……どうすれば」
~2018 文章Gダム,~2018,アイガエ
たとえ何をなくしても
少し長め /「……こりゃあ、もう駄目かもな」
リディさんが呟いたが、おれはまだ諦めていない。目の前に広がる赤と紫の金属片の間に、目を引く黄色をした脱出用ポッドがある。飛び出すようにコクピットから出て、その中へはしかしゆっくりと入る。
~2018 文章Gダム,~2018,アンバナ
他でもないあなたに
※現パロ 『会いたい、と言ったら、あんたは会いに来てくれるのか?』
電話の向こうで、くすりと笑うのが聞こえた。一応彼のほうが年下ではあるはずなのに、なぜかいつもこうだ。主導権を握られている、と思う。それは彼が持つある種のカリスマのせいなのだろうか。
~2018 文章Gダム,~2018,マツジョニ
同じ道を歩んだ僕らだから
「いいじゃないか、別に」
あまりに簡単に言うものだから、もう少しで怒りに任せ手を上げてしまうところだった。オレがどれだけ悩んでいるかわかって言っているのだろうか、こいつは。女性陣に訊くのも気が引けるし、もちろんロウや劾などにそういった話が通じると思えるわけもなく、必然的にこのイライジャ・キールしか残っていなかったのだ。
~2016 文章Gダム,~2016,イライジャ,カイジェス
沈む今日のメカニズム
「……美しい」
「だろ?」
水平線に沈んでいく夕陽は、何度めに見るものであっても感想は同じであった。得意げに笑うロウに、劾はふっと微笑む。
~2016 文章Gダム,~2016,ロウ劾
その温もりに眩暈がするの
「それ、セクハラですよ」
そう言うと彼は露骨に嫌そうな顔をした。だからって情状酌量もなにもない。
「でもよお」
「だめです」
~2016 文章Gダム,~2016,ジャクフォン♀
それ以上の幸福がありましょうか
「おれがあなたを好きで、……あなたが、おれを好きで」
それだけだったら。
伸ばした両手がしばし宙空を彷徨う。ただ、いつも何を考えているのか、わかるようでわからない瞳がそこにあった。
~2016 文章Gダム,~2016,ジャクフォン
意味なんてないキスをしよう
いつもまっすぐに見つめてくるあいつの目が閉じられている。こうも近くにいながら、まあオレはそのほうがやりやすかったりするが、何とも言えないような気になった。やつはオレを待っているのだ。
~2016 文章Gダム,~2016,カイジェス