オクトラ

レストイン・ピース

暗闇のなかで、誰かが自分を嗤う。それに伴う後悔の念、伸びてくる包帯の巻かれた腕。傷口が開いたのか血が滲んでいて痛々しい。が、男はいやに元気そうに笑いながら、俺の首を掴んで地面に押し倒した。ひやりと背中に当たる冷たいそれはまるで刃のようで、死が間近に迫っているような、そんな心地がする。

バッドステータス

盗賊はそのとき久々に、状況の理不尽さに嘆息した。大概のことは持ち前の能力でなんとかしてきたが、人間、もしくは生き物としての本能の前では如何ともしがたい。それにしてもこの動悸と下腹部の熱はどうして起こされたものなのだろうか。

伸ばす先に

「んじゃあ、偉大な盗賊様に乾杯!」 「……声がでかい」 「いいじゃねえか。周りも騒いでるんだしよ」 「誰が聞いてるかわからん。前に話しただろう」 テリオンはそう言って、アーフェンに強引にぶつけられたグラスを傾ける。