会いたいと思った。いつもの腑抜けた顔を見て、その肩を叩いて、手を合わせて笑いあいたい。だがそれはいまは叶わぬことで、叶えてはいけないこともわかっていた。これ以上一緒にいるべきじゃないと気づいていたのは、きっと最初からで。オレがどうやってもなにも作れなかったとき、アイツは笑っていつかできるようになるよと本心から言っているように見えた。本当はわかっているのだ。オレは壊すことでしかオレであることを証明できない。そしてビルダーは物を作ることでビルダーたりうる。アイツがどんなにひどい目にあっても物を作ることをやめないのはその衝動があるからで、オレには真逆の衝動があった。力を振るいなにかを壊したいという衝動。これが本能ってやつなのか感情だか意思ってヤツなのかは、オレにはまったく区別がつかないのだった。アイツはどうなのだろう。横たわりながら、いつまでたっても浮かぶのはあの腑抜けた笑顔だった。アイツといないせいで眠ることも忘れてしまった。本当は食事と同じように眠りなど必要としないのだ、この身体は。外ではどれだけの時間が経っているのだろうか、そんなことは考えても仕方がない。あの監獄島のときと同じだが、壁越しの隣にすらアイツはいない。
胸のあたりがちりちりと焦げるように痛い。このイヤな感じの正体を教えてくれる者は誰もおらず。頭の奥にどこか懐かしい声が響くのを感じながら、目を閉じた。