きみが何をどう思おうときみの自由だけど
※学パロ
それは幸せというものだよ。半分は冗談で云ったが、何も知らない彼はただ無表情で首を傾げた。今日も不発。
「……俺にはわかりません」
「そうか。構わないさ、それでも」
~2012 文章TOV,アレシュ,~2012
それでもきみは僕の前を歩いていくから
※発売前
「俺はさ、居場所を作るわけにはいかないんだ。お前もちゃんとした夢があるんならわかるだろ、そういう仕事なんだよ。ずっとふらふら彷徨って誰かに雇われて金をもらって、いつかはどこかで一人で死ぬ。それが俺の夢さ」
「そんな、……そんなの」
「それにお前が口を出す権利はない。それもわかるだろ、青少年」
~2012 文章TOX,ジュアル,~2012
目を閉じていたらいい
※発売前
「お、なんだ。今度は鳥かよ?」
「うん、木の下に墜ちちゃってて」
「まだ雛なのか」
「だろうね。今から手当てするところ」
~2012 文章TOX,ジュアル,~2012
埋め合わせ
まだ暦の上では夏なのに、妙に寒い日だ。テントの中でも隙間風がやたらと突き刺さってくるので、昼寝をしていたのに妙に起きてしまって、横で武器の手入れをしているおっさんの上着の裾を引っ張る。
~2012 文章TOV,ユリレイ,~2012
好きだよと触れる
「な――ちょッ、痛」
「よかった。本当に」
肩の骨がみしみしと悲鳴をあげそうなほど強く、ただ強く抱きしめられる。フレンのこんな姿を見るのは当然ではあるが初めてで、驚いた。
~2012 文章TOV,フレレイ,~2012
知らなくてもいいこと
※学パロ
「あんたはどう思う?」
何かを知っている目で、青年は長い髪を揺らしながら尋ねる。いいや、案外何も知らなくてただの戯れかもしれない。む、とレイヴンは口をへの字に曲げて眉をひそめた。
~2012 文章TOV,ユリレイ,~2012
やがて何にも成れないもの
目尻の雫を人差し指で掬う、そうだ、これだ。感情的と生理的の違いなどもはやどうでもよかった。彼の涙。そう思うだけで自分の中に何かが、込みあげる。如何に彼の表情が微動だにしないままであっても。
~2012 文章TOV,アレシュ,~2012
変わらぬさだめ
彼は俺の腕を掴んだかと思えば、驚いて思わず開いた手の平を彼自身の喉に押しつけた。
「拓也」
「…どうしたんだ、檜山」
「殺してくれ。もう」
~2012 文章ダン戦,蓮拓,~2012
忘れたいこと
遠慮がちにへらへら笑う瓶底眼鏡。その笑顔を見ているとなんだかわからないが、沸々と感情が煮立っていく。
~2012 文章ダイユ,ダン戦,~2012
言ってはならない
どうしてだろう、いつからか自分の彼への想いに自信が持てなくなった。好きです、とどんなに繰り返しても、何かどこかが食い違っているように思えて仕方がないのだ。好きなのは確かなのに。
~2012 文章ダン戦,英拓,~2012
理由を聞けたら
檜山のその笑顔は、ときどき拓也に違和感を感じさせた。ときどき、本当に空虚なのだ。瞳の中はただ何もない伽藍洞になっていて、そう、云ってしまうなら人間のものではないような。
~2012 文章ダン戦,蓮拓,~2012
鈍いなんて知っている
「……す気かよ」
「は?」
「なんでもない」
見舞いに来てやったのにカズはやたら不機嫌だった。
~2012 文章カズ拓,ダン戦,~2012