そして出会うふたり
「で、セルエルはどうすんだ?」
アイルストでの一件が終わり、ノイシュの行く先も決まり、グランが部屋へ少し休みに行った頃。思い出したようにビィが疑問を呈する。ノイシュはセルエルの命により騎空団での活動を続けることになったが、さてセルエルは島に残るのか、ということだ。
~2018 文章GBF,~2018,セルノイ
いつか出逢うふたり
この艇には、因縁がある者同士はなかなか出会わないという都市伝説めいたものがあった。みんなそれに気づきつつ、しかし本人たちに伝えることはしない、という性質のせいもあるだろう。みんな大人であるか、気づきすらしない幼い子たちしかいないからだ。
~2018 文章GBF,~2018,セルノイ
鋼刃にうつるもの
バルツの店には、流石はドラフの国というか、剣から楽器までかなりの業物が揃っている。話には聞いていたが目の当たりにしたのはまったく初めてで、決して武器マニアではない俺でも圧倒されてしまった。やはり店ごとに専門は違うようだが、どこに行っても目を見張るものばかりで、疲れてしまうくらいだ。
~2018 文章GBF,~2018,グラルシ,ルシウス
翻弄される
「ええ、いいじゃん。たまに会ったときくらい」
「そう、じゃなくてだな……か、顔を近づけるな……!」
鼻の頭同士がぶつかる。というほど勢いはないが、ゼヘクにとって大事なのはそこまでの至近距離に想い人がいるということだ。
~2018 文章GBF,~2018,ゼヘドラ
そして時は流れた
僕は、ルシウスのそういうところが好きだ。グランはそう呟いて、相手の背中に額を触れさせた。同時に指がそこにある傷をなぞる。
~2018 文章GBF,~2018,グラルシ,ルシウス
罪悪感に似たなにか
「……ちょっと、待ってくれ」
少し、少しの謝罪をしてすぐ去るはずだった。案の定彼はそれを許してくれなかったみたいで、僕がいつも身につけているマントの裾を引き、そう強い力でなくても逃げられないような雰囲気をつくっていた。
~2018 文章GBF,~2018,ゼヘドラ
終わりある光を想う
気がつくと窓枠に肘を置いて、空を見ていた。亡くなった人間が星になるなどという話は当然信じていなかったが、彼を探すとどうしても上を見てしまう。まさか地上にいるわけもないのだから。
~2018 文章Gダム,~2018,タカアス
月は満ち欠ける
いつか、幼かった日に。ずっと一緒にいたいと初めて願ったのは、まだ友情しか感じていなかったころだったか。正直なところ自分はあのときから随分と変わってしまって、三日月のほうは何も変わっていない、とオルガは思う。冷たい無機質な目も、温かく微笑む目も。
~2018 文章Gダム,~2018,オルミカ
間近に刺さる
「……性急だ!」
アインはきょとんとして、しばし俺の瞳を見つめたあと、ようやく理解したように声をあげた。
「ですが……どうすれば」
~2018 文章Gダム,~2018,アイガエ
たとえ何をなくしても
少し長め /「……こりゃあ、もう駄目かもな」
リディさんが呟いたが、おれはまだ諦めていない。目の前に広がる赤と紫の金属片の間に、目を引く黄色をした脱出用ポッドがある。飛び出すようにコクピットから出て、その中へはしかしゆっくりと入る。
~2018 文章Gダム,~2018,アンバナ
他でもないあなたに
※現パロ 『会いたい、と言ったら、あんたは会いに来てくれるのか?』
電話の向こうで、くすりと笑うのが聞こえた。一応彼のほうが年下ではあるはずなのに、なぜかいつもこうだ。主導権を握られている、と思う。それは彼が持つある種のカリスマのせいなのだろうか。
~2018 文章Gダム,~2018,マツジョニ
そこに涙がありませんように
さむい、とマヤが呟いた。ので仕方なくコートを被せてやると、彼女はありがとうと屈託なく笑った。
「面白いな、お前らのやりとりは」
キリシマの声がしたので振り向く。
~2016 文章~2016,キリシマ,ハルナ,マヤ,蒼き鋼