滔々と流れる時間
士郎、という名前を誰が呼ぼうと、その名前はとっくに俺のものではない。爺さんが呼んでいたその名前を、俺はもう自分の名前だと思っていなかったのだ。ならば俺のみを示す名前はどこにあるのだろう。……エミヤ。爺さんが持っていたのと同じものだが、それでもいいかもしれない。
~2018 文章FateSN,~2018,士弓
どこかで見たような
「くだらぬ願いであれば、貴様の命で贖ってもらうぞ、雑種」
当然のように言い放った金髪の、血のように紅い両眼をした青年は、英雄王ギルガメッシュというらしかった。
~2018 文章Fateコラボネタ,LoV3,ヴォルアル
スリーピング・ビューティ
彼の黒髪はこの上なくきれいだ。昔は茶色に染めていたときもあったが、改めて見るとこのほうが似合っている。それに指を通しながら、首筋に口づけた。頭上で彼が笑う。
~2018 文章~2018,桐森,鉄LB
巣立ち
「……なんだかさ、息子が独り立ちしちゃったみたいな、そんな感じ」
「彼はそんな歳ではないだろう」
「じゃあ、弟かな。でも、娘の兄なんだから、やっぱり息子だ」
気怠げにソファに横たわる成歩堂は、何処か拗ねていた。
~2018 文章~2018,御成,逆裁
心地よい熱
※学パロ /ゼヘクは高校生であるにもかかわらず一人暮らしの身だった。それは生まれ持った病のためではあるが、ゼヘク自身が決めたことだ。ときどき両親には会いに行くし、住んでいる近所にたまたまその筋の研究を嗜んでいる女性がおり、なにかあったときには頼れたので体調的にも不自由はしていなかった。
~2018 文章GBF,~2018,ゼヘドラ
迫っては離れ
舌を絡めると生温くて、それがやけに現実感を増していた。それでも、こうしてしていることに実感は得られない。夢のなかにいるみたいな感覚が抜けないまま、頭を惚けさせ、理性の箍が外れていくのだけがはっきりとわかる。
~2018 文章GBF,~2018,パージク
ゆるやかな依存
※世界観が謎な吸血鬼パロ /かり、と手指の爪に歯を立てるのが、妙に艶かしく映る。それは俺が遺憾ながらこの男に惚れてしまっているからで、それゆえに、これから捕食されるということに本能的な期待を抱いていたからなのだろう。その尖った歯は指の腹に侵入して、傷口から柔らかい唇へ血が零れる。痛みは感じなかった。
~2018 文章GBF,~2018,パージク
片目隠れのふしぎ
じ、と。彼の左眼と視線をかち合わせる。包帯で隠れた右眼はいまだに見たことがないが、僕だって同じほうの瞳を前髪に隠している。なんとも奇妙な偶然だなあ、と思った。手を伸ばし、ごくり、音を鳴らす喉に触れる。
~2018 文章GBF,~2018,ゼヘドラ
金木犀と百合
※学パロ /一週間の三割ほどを保健室で過ごすゼヘクにとって、養護教諭であるドランクはクラス担任と同じくらいよく見知った仲だった。
「学校じゃなくて、通信教育とかのほうが良いんじゃない」
笑いながらそう言い、教師は書かなければならないはずの書類を丸めて捨てた。
~2018 文章GBF,~2018,ゼヘドラ
口下手なあなた
あの日、誰もが虚ろな瞳をしていた。誰もがどんな言葉を発して良いものか図りかね、何を信じれば正しいと自分で思えるのか、答えを宙空に捜していた。そんなものはないに決まっているのに。
「……パーシヴァル」
~2018 文章GBF,~2018,パージク
見えないものを見ようとして
行為の際、ドランクはあまり自分で脱ぎたがらない。そういえば、と思う。騎空団にいる他のエルーン族を見ていると、男女関係なく肌を露出した格好の者が多い。女子は特に見ている俺が恥ずかしくなるほど……いや、いまはどうでもいいだろう。
~2018 文章GBF,~2018,ゼヘドラ
静かに眺めたかった
とある昼下がり、とある島のとある街。グランは酒場で冷たいオレンジジュースを頂きながら魔物討伐の依頼を受け、誰を連れて行こうなどと思案しつつ帰路についた。が、途中のベンチに見知った珍しい姿を見つけ、立ち止まる。
~2018 文章GBF,~2018,ゼヘドラ