TOX

結局は離れられない

耳朶を叩く甘ったるい言葉。似合わない。どこからどう見てよく考えてみても似つかわしくない。別にマゾヒストの気はないけれど、もっと冷たくしてくれて良いんだ。その方が、ずっと生きてる心地がする。

仔猫と彼

※仔猫とぼく のあと 「全然似てねえだろ、こいつ」 ばっさり切り捨てられた。当然と云えば当然だ。流石に大の大人に自分と小動物とが似ていると云われて、ああなるほどと簡単に納得する純粋な人間はいない。でも似ていると思うのだから仕方ないでしょう。無言に、両手で持ち上げた仔猫を彼の前に突きだす。

仔猫とぼく

薄汚れた茶色い毛をさわさわと撫でる。日が昇り始めた朝方のイル・ファン海停、早く起きすぎたので、人々が店を開ける準備をしているのは横目に海を見ていたらふと視界に入ったのだ。 汚れているから野良だとは思うけど、親はどこにいるのだろう。まだ幼いのに、はぐれてしまったのだろうか。

包みこませて

繋ぎとめていたいと思い始めたのはいつ頃からだったんだろう。一番初めに彼が別れを告げたときか。それから、何をどうしてこんなに屈折した感情に変わったのだろうか。屈折したというか、ただ複雑なだけだと思うけど、とりあえず面倒な何か。

ポッキーの日

※現パロ同棲設定 ビニール袋のものらしき音をがさがさ鳴らしながら彼は帰宅した。おかえり、と云ったら弾んだ声がただいま、と返ってくる。

合鍵

※学パロ 呼びだされて手渡されたのは、彼の手より幾分小さな鍵だった。思わず驚いた顔で見上げてしまう。アルヴィンは苦笑して云った。

それでもきみは僕の前を歩いていくから

※発売前 「俺はさ、居場所を作るわけにはいかないんだ。お前もちゃんとした夢があるんならわかるだろ、そういう仕事なんだよ。ずっとふらふら彷徨って誰かに雇われて金をもらって、いつかはどこかで一人で死ぬ。それが俺の夢さ」 「そんな、……そんなの」 「それにお前が口を出す権利はない。それもわかるだろ、青少年」