LoV3

ひとつずつ重ねていく

寝静まった部屋のなかで、ひとり目を覚ます。隠れ家は当然常灯もなく真っ暗で、瓦礫のような壁の隙間から一筋、月の光だけが差し込んでいた。いつの間にか寝てしまった、と思い出しながら、二人も同じだったのだなと状況を見てヴォルフは思う。

野に咲く花に想いを馳せ

荒廃した大地の中に、ひとつだけ、白い花がぽつんと咲いていた。寂しい、とも思うし、気丈だな、とも思う。しかしこの花は決してひとりではなく、そもそも土がなければ咲けないどころか根を張ることもできないし、雨がなければ育たないのだから、結局彼だか彼女だかは運が良かっただけの代物だ。