いつか出逢うふたり
この艇には、因縁がある者同士はなかなか出会わないという都市伝説めいたものがあった。みんなそれに気づきつつ、しかし本人たちに伝えることはしない、という性質のせいもあるだろう。みんな大人であるか、気づきすらしない幼い子たちしかいないからだ。
~2018 文章GBF,~2018,セルノイ
鋼刃にうつるもの
バルツの店には、流石はドラフの国というか、剣から楽器までかなりの業物が揃っている。話には聞いていたが目の当たりにしたのはまったく初めてで、決して武器マニアではない俺でも圧倒されてしまった。やはり店ごとに専門は違うようだが、どこに行っても目を見張るものばかりで、疲れてしまうくらいだ。
~2018 文章GBF,~2018,グラルシ,ルシウス
翻弄される
「ええ、いいじゃん。たまに会ったときくらい」
「そう、じゃなくてだな……か、顔を近づけるな……!」
鼻の頭同士がぶつかる。というほど勢いはないが、ゼヘクにとって大事なのはそこまでの至近距離に想い人がいるということだ。
~2018 文章GBF,~2018,ゼヘドラ
そして時は流れた
僕は、ルシウスのそういうところが好きだ。グランはそう呟いて、相手の背中に額を触れさせた。同時に指がそこにある傷をなぞる。
~2018 文章GBF,~2018,グラルシ,ルシウス
罪悪感に似たなにか
「……ちょっと、待ってくれ」
少し、少しの謝罪をしてすぐ去るはずだった。案の定彼はそれを許してくれなかったみたいで、僕がいつも身につけているマントの裾を引き、そう強い力でなくても逃げられないような雰囲気をつくっていた。
~2018 文章GBF,~2018,ゼヘドラ