平行線を辿る僕ら
怨みがないわけではない。しかしそんなものはとっくのとうに擦れ削れて消えてなくなってしまったのであるし、そのことについて今さら何か言うというのもおかしい話だった。
~2016 文章Gダム,~2016,シャアム
人工的な温もりに
「お前ってさ、顔だけはいいんだよなあ」
マフラーに唇を埋めながら言うものだから、聞きのがすところだった。彼はもとよりそれが狙いだったらしく、私が返事を寄越せばとても不満げな顔をした。まったく素直じゃないやつだ。
~2016 文章Gダム,~2016,シャアム
不安定なやくそく
「……ん」
唇の間からどちらのともとれない吐息が洩れる。ただ、唾を呑みこんだのはクワトロのほうだった。アムロという男がこうも積極的なのを見たのは、彼にとって初めてのことだったからだ。
~2016 文章Gダム,~2016,シャアム
その理由
明瞭にすぎる瞳を見たくなくて、体ごと目を逸らした。酒が入ったって変わりはなく、やはり何も通さない彼の瞳は危険だ。仮面だってサングラスだって、何かを通したとして結局は変わりないのだが。
~2016 文章Gダム,~2016,シャアム
きっと、ずっと前から
時々にしか触れ合えなかったころ、感じていたあの独占欲をふいに思い出した。彼の笑顔も、涙も、いまだに若い生真面目さをもった瞳も、いまは自分の隣にある。いやむしろ、だからこそだろうか。
~2016 文章Gダム,~2016,シャアム
凭れる
今日は疲れた、と零して背中にのしかかってくる男の体重はとても軽く感じた。以前何度かは地球に住んでいた時期があったが、こういう風に他人と触れ合うのは、ひどく懐かしいことのような気がする。
~2016 文章Gダム,~2016,シャアム
その白はまるで
「……雪だ」
静かな部屋に呟いた一言はいやに大きく響いたように思えた。そのせいか腰のあたりで彼がもぞりと動いて、少し擽ったく感じる。起こしてしまったか。
~2016 文章Gダム,~2016,シャアム
おとなとこども
Z軸でシャアムっぽい /「僕はあの人ほど、貴方を知りませんけど」
頬杖をついて云うと、何故か寂しい気になった。本当は関係ない話だから当たり前のことなのに。
「……きっと。そんなの、小さなことだと思いますよ」
~2016 文章Gダム,~2016,カミアム