DRRR

とある二人

「門田さん、プラモとか組まないっすか」 「お前、そういう分野も好きだっけ」 「いやいやそれは偏見っすよ門田さん。萌えも燃えも両立してこそ真の」 「もういい」

本能と云う名の必然

もう記憶は戻ったりしないと、理由はなくもわかる。そもそも失くしてしまったものを何の努力もせず取り戻そうなんておかしい話だ。何かのきっかけで戻ることもあるそうだが、失くしてから数ヶ月、戻らなくともいいか、と思うようになってきた。――記憶喪失ネタ⑥(完結)

揺れ動く否と肯

それで、一体どうして俺はこいつと一緒に夕飯を食っているのか。こいつは俺に飯を作らせにわざわざ来たのか。なんだかんだで2人分作ってしまった俺も俺だが、せめて手伝いくらいはしろ。――記憶喪失ネタ⑤

不似合いセンチメンタリティ

……あ? と、声が漏れた。後ろから誰かに呼ばれた気がしたのだ。立ちどまり振りかえると、誰もいない。ポケットから出しかけた拳を持てあます。あんな呼び名で呼ぶ男は、この世に1人しか存在しないはずだった。――記憶喪失ネタ④

「たまには」の効果

「…っ」 やっちまった、という顔をしていた。ぶっちゃけある意味加害者である紀田正臣ですら、数秒ほど思考停止したくらいである。それは両方にかなりの衝撃を与えたようだった。

いっそ喋らなければいいのに

別に俺だってこんな風になりたくてなったわけじゃない。すべてこの力のせいだなんてことは云えないけど、それは云いたい。近寄る奴をなくすためだ、と臨也に云ったらばかにされた。

それはいくつもの矛盾が重なった、ひとつの矛盾。

ああそうさ俺は臆病者だ。杏里からも臨也さんからも門田さんたちからもサイモンからさえも帝人から、逃げだした卑怯なやつだ。開き直ってるんじゃない、認めてずっと償いもせず背負ってる。屁理屈でもそう云うならそれでいい、言及されることからも俺は逃げていたいからだ。

部外者は所詮部外者

あいつはいつものように笑わない。大嫌い、死ね、どうして生きてる、俺たちが会えば息をするように吐いていた言葉を吐かない。情報屋として仕事をして金をもらって企みごとをして、生きている。――記憶喪失ネタ③