微笑む
「はは、ありがとう。また死んじゃったのか」
毎度思うが、いくら神の御業とはいえ棺桶に息もなく眠っていたものがきれいさっぱり元気に目を醒ますのはとても不自然だ。彼などは死を経験しすぎてどこか何かがずれてきているのではないだろうか。目の前で申し訳なさげに笑う少年を見ながら、もうひとりの少年は考える。
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囁く
さやかに風がそよぎ、森の木々がつけている葉を揺らす。その音が聞こえるほど周囲は静かで、夜の森は少し恐ろしいが、これはこれでよいものだと思った。魔物に襲われることがなければもっとよいのだが。とは言えども、今夜は大きめに作った焚き火のおかげか近づくものもなく、本当に静かだった。
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懐かしむ
広い空を見ると懐かしくなる。思えばあれが始めて三人で攻略した迷宮だった。旅の中では明らかに広すぎる灯台だったりやたら落とし穴や惑わしの多い洞窟だったり迷宮じみた場所に悩まされたが、それを思えばあの塔は道順についてはやさしかった。そのかわり俺は何度か落ちかけてふたりに助けられたのだけれど。
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