思い出さなきゃいけなかった、のに、それがよかったのか悪かったのかわからない。
「……ゆづる、」
後ろから声が聞こえて、びくりと身体を震わせ振りむいた。結弦。俺の、下の名前だ。振り返って視線の先には、恥ずかしそうに苦笑する日向がいた。
~2012 文章AB!,音日,~2012
このまま、ずっとこのまま
日向の死因は、薬をやったこと、らしい。
「で、どんな気分だったんだ? そんとき」
「最高だったよ、そりゃな。あのときの俺にはそれしかなかった。禁断症状とか出ると最悪だけどさ」
「……はあ。やっぱり、そういうもんなのか」
~2012 文章AB!,音日,~2012
倒錯ロマンス
「……俺のこと、嫌いか?」
音無はそんなギャルゲーとかで女の子が云っていそうな科白を吐いて、これまたギャルゲーとかで女の子がしてきそうな上目遣いをして俺をけしかけてくる、及び、見つめてくる。
~2012 文章AB!,音日,~2012