逆裁

巣立ち

「……なんだかさ、息子が独り立ちしちゃったみたいな、そんな感じ」 「彼はそんな歳ではないだろう」 「じゃあ、弟かな。でも、娘の兄なんだから、やっぱり息子だ」 気怠げにソファに横たわる成歩堂は、何処か拗ねていた。

多分、過去なんてなくたって

握ってみたらその左手は思ったよりしっかりしていて、驚いた。普段は、と云うか見た目はどう見てもだめなタイプのおじさんなのに。 たまにこの人はこう云うギャップ(って云ったらいいんだろうか)があって、それに出会うたび、ドキドキする。