蓮拓

変わらぬさだめ

彼は俺の腕を掴んだかと思えば、驚いて思わず開いた手の平を彼自身の喉に押しつけた。 「拓也」 「…どうしたんだ、檜山」 「殺してくれ。もう」

理由を聞けたら

檜山のその笑顔は、ときどき拓也に違和感を感じさせた。ときどき、本当に空虚なのだ。瞳の中はただ何もない伽藍洞になっていて、そう、云ってしまうなら人間のものではないような。

淋しがりと煙草

ライターで火を点けてから、煙草の煙は嫌いだと云っていたあいつの顔が浮かんだ。いまとなっては無意識のうちでやっていることだが、独りでいるときだけ吸うようになったのは、そういえばそのせいだ。

いっそすべて忘れてしまえば

「俺たちのしていることは、本当に意味があるんだろうか」「どういうことだ?」「目標に近づくたびに思う。俺たちが海道義光を打ち倒しイノベーターを崩壊させ、そうして世界はどうなるのか」「ばかな、奴らはエターナルサイクラーを悪用しようとしているんだ…