そのときにはどうか安らかなキスを
気づいたら視界は薄い青に染まっていた。息ができない。止める。服が貼りついて肌に伝えてくる、冷酷。長時間水の中に沈んでいれば当然、人間は呼吸をなくして死んでしまう。そんな冷たさ。
目を閉じてふと、これは夢なんだと思った。水に沈んでいるはずなのに、息を止めているはずなのに、苦しくない。全然。もしかしたら感覚がなくなっていたりするのかもしれないけれど、とりあえずヘンな感覚だ。
坂崎しぐれ(子)の雑文置き場