その姿に触れたいと思うのが
よく聞くが恋と云うものは複雑でしかし単純なものだ。どんな紆余曲折があったとして、一目惚れだって友情の延長線だってそのときの気持ちは結局「好き」の一言以外には表せない。と思う。
~2012 文章上土,禁書,~2012
いらいら
もう出会うことはないと思っていたが。別れも告げず、それがあの集団だったと思っていたのだが、偶然とは恐ろしいものだ。
~2012 文章一土,禁書,~2012
積極的じゃない彼へ
箸で掴んだ自作ミニハンバーグを土御門の口に運びつつ、上条は非常に複雑な表情をする。
やっべー財布忘れちゃったなーとか云いそうな顔で、しかし云わずあからさまにこちらを見ているものだから、性分的に放ってはおけなかったのだ。
~2012 文章上土,禁書,~2012
誤魔化せるとでも
「別に悪いことじゃないだろ、むしろカミやんは笑わなさすぎ」
そう云って、ぐいーっと真横に右頬を引きのばされた。いや、これ笑わせようとしてるってより遊んでるだけじゃないのか。妙に強い力のせいで全然口が動かせないので、言葉にならない。ただの唸り声だ。
~2012 文章上土,禁書,~2012
思考
「……寝てしまった、か」
こんな状況に体勢で寝られるとはなんと無駄に器用な男だろう。逆に不器用と云ってもいいか。もしくはそんなに眠かったのか。
~2012 文章上土,禁書,~2012
絡まる
ぼうっと何も考えず、無心にサングラスの奥を見つめてみる。意味ありげにも無計画そうにも見える笑みは何を考えてるのか本当にわからない。俺の周りはなんとなく直情的なやつが多くて(あとで云ったら人のことは云えないと諭された、少し心外だが確かに)珍しい人物かもしれない。
~2012 文章上土,禁書,~2012