ロベカツェ

惹かれる

青年は甲板の隅で、静かにヴァイオリンを奏でていた。昼前の甲板は人もまばらで、それに今日は大きめの依頼やそれぞれの用事で艇を抜けているものが多く、珍しいことに彼以外の誰もそこに居なかった。

抱きしめる

「つかまえた」 小さな身体は、こちらがどんな体勢でも抱きしめれば腕の中にすっぽり収まってしまう。いつもなら彼なりに無駄な抵抗をするのに、今日はされるがままだった。ベッドの上とはいえまるで借りてきた猫みたいだ。彼の名前とは関係なく。