変わらぬさだめ
彼は俺の腕を掴んだかと思えば、驚いて思わず開いた手の平を彼自身の喉に押しつけた。
「拓也」
「…どうしたんだ、檜山」
「殺してくれ。もう」
~2012 文章ダン戦,蓮拓,~2012
忘れたいこと
遠慮がちにへらへら笑う瓶底眼鏡。その笑顔を見ているとなんだかわからないが、沸々と感情が煮立っていく。
~2012 文章ダイユ,ダン戦,~2012
言ってはならない
どうしてだろう、いつからか自分の彼への想いに自信が持てなくなった。好きです、とどんなに繰り返しても、何かどこかが食い違っているように思えて仕方がないのだ。好きなのは確かなのに。
~2012 文章ダン戦,英拓,~2012
理由を聞けたら
檜山のその笑顔は、ときどき拓也に違和感を感じさせた。ときどき、本当に空虚なのだ。瞳の中はただ何もない伽藍洞になっていて、そう、云ってしまうなら人間のものではないような。
~2012 文章ダン戦,蓮拓,~2012
鈍いなんて知っている
「……す気かよ」
「は?」
「なんでもない」
見舞いに来てやったのにカズはやたら不機嫌だった。
~2012 文章カズ拓,ダン戦,~2012
淋しがりと煙草
ライターで火を点けてから、煙草の煙は嫌いだと云っていたあいつの顔が浮かんだ。いまとなっては無意識のうちでやっていることだが、独りでいるときだけ吸うようになったのは、そういえばそのせいだ。
~2012 文章ダン戦,蓮拓,~2012
後悔ならば置いてきた
久々に会った八神さんは、随分と髪が短くなっていた。正直に云えば一目見たときは誰かと思った。あの赤が波打つような髪が風に流れるのを見るのは、嫌いではなかったのだが。少し残念に思う。
~2012 文章ダン戦,英拓,~2012
つまり、愛してるってこと
「……暑いよな、絶対」
「いや全く」
「嘘をつけ、嘘を! と云うか俺が暑い」
「うるさい、耳のすぐ近くで叫ぶな」
~2012 文章ダン戦,蓮拓,~2012
その目で見ていて
初めて会ったときは、柄にもなくものすごく緊張した。拓也さんはレックスの相棒であり、レックスから勧誘された組織のリーダーだった。緊張しないはずがない。
~2012 文章ダン戦,郷拓,~2012
感覚の麻痺
※女体化ネタ「ちょ、っと、待て、ばかッ」
「少しだけ、少しだけだ」
「は、な、れ、ろ…!」
「……ふむ」
~2012 文章ダン戦,蓮拓♀,~2012
もう一度眠る前に
帰ってくるなり、俺の姿を視界に認めるとユジンは、脱力して倒れこんできた。いきなりだったので慌てはしたが、どうにか彼を支える。一体どうしたのだろう。順当に考えれば仕事の疲れだろうけれど。
~2012 文章ダイユ,ダン戦,~2012
いっそすべて忘れてしまえば
「俺たちのしていることは、本当に意味があるんだろうか」「どういうことだ?」「目標に近づくたびに思う。俺たちが海道義光を打ち倒しイノベーターを崩壊させ、そうして世界はどうなるのか」「ばかな、奴らはエターナルサイクラーを悪用しようとしているんだ…
~2012 文章ダン戦,蓮拓,~2012