ゼヘドラ

心地よい熱

※学パロ /ゼヘクは高校生であるにもかかわらず一人暮らしの身だった。それは生まれ持った病のためではあるが、ゼヘク自身が決めたことだ。ときどき両親には会いに行くし、住んでいる近所にたまたまその筋の研究を嗜んでいる女性がおり、なにかあったときには頼れたので体調的にも不自由はしていなかった。

片目隠れのふしぎ

じ、と。彼の左眼と視線をかち合わせる。包帯で隠れた右眼はいまだに見たことがないが、僕だって同じほうの瞳を前髪に隠している。なんとも奇妙な偶然だなあ、と思った。手を伸ばし、ごくり、音を鳴らす喉に触れる。

金木犀と百合

※学パロ /一週間の三割ほどを保健室で過ごすゼヘクにとって、養護教諭であるドランクはクラス担任と同じくらいよく見知った仲だった。 「学校じゃなくて、通信教育とかのほうが良いんじゃない」 笑いながらそう言い、教師は書かなければならないはずの書類を丸めて捨てた。

見えないものを見ようとして

行為の際、ドランクはあまり自分で脱ぎたがらない。そういえば、と思う。騎空団にいる他のエルーン族を見ていると、男女関係なく肌を露出した格好の者が多い。女子は特に見ている俺が恥ずかしくなるほど……いや、いまはどうでもいいだろう。

静かに眺めたかった

とある昼下がり、とある島のとある街。グランは酒場で冷たいオレンジジュースを頂きながら魔物討伐の依頼を受け、誰を連れて行こうなどと思案しつつ帰路についた。が、途中のベンチに見知った珍しい姿を見つけ、立ち止まる。

翻弄される

「ええ、いいじゃん。たまに会ったときくらい」 「そう、じゃなくてだな……か、顔を近づけるな……!」 鼻の頭同士がぶつかる。というほど勢いはないが、ゼヘクにとって大事なのはそこまでの至近距離に想い人がいるということだ。

罪悪感に似たなにか

「……ちょっと、待ってくれ」 少し、少しの謝罪をしてすぐ去るはずだった。案の定彼はそれを許してくれなかったみたいで、僕がいつも身につけているマントの裾を引き、そう強い力でなくても逃げられないような雰囲気をつくっていた。