汚れないでほしい
「もったいないよ」
「…何が?」
「この髪。戦場って、埃とか破片とか、たくさん散るだろ」
涯の金糸のような髪の一房に指を通し、少し見惚れる目をして集は云った。
~2012 文章~2012,ギルクラ,集涯
知りたい、と思うことから
マンションのベランダから、夜にしては明るすぎる街をすがめる。次に、相も変わらず無表情のまま、すぐ隣で同じ景色を見ている少女に目を向けた。しかし目を逸らす。視線に気づかれるのが怖くて、長く見ていられない。この距離で気づかない彼女も彼女だけど。
~2012 文章~2012,ギルクラ,集いの
一抹の不安
※女装
「……何してんのさ」
「どう思う、集」
「そんなこと云われても…そもそも、どうして僕に聞くんだよ」
「お前が男どもで一番若いからだ」
~2012 文章~2012,ギルクラ,集涯